「日傘は女性が使うもの」「男性が差すのは少し恥ずかしい」と感じていないでしょうか。
しかし、猛暑が続く現在、日傘は性別に関係なく使える実用的な暑さ対策です。直射日光を遮って持ち運べる日陰をつくるため、通勤や外回り、買い物などの短い移動でも役立ちます。
最近では、暑さや汗を軽減する目的で日傘を使う男性も増えています。
ここでは男性にも日傘が必要な理由、日傘に期待できる効果、男性が日傘を選ぶ際のポイントを解説していきます。
男性にも日傘が必要なほど日本の猛暑は厳しくなっている
日本の猛暑日は長期的に増えている
気象庁が長期的な変化を確認するために用いている全国13地点の観測データでは、猛暑日の年間日数が増加傾向にあります。
1910~2025年の統計では、日最高気温が35℃以上となる猛暑日の年間日数は、100年あたり2.9日増加しています。
また、最近30年間にあたる1996~2025年の平均年間日数は約3.2日で、1910~1939年の約0.8日と比べて約4.2倍に増えています。
ここで示されている数値は、日本全国すべての観測地点の平均ではありません。長期間にわたり継続して観測している全国13地点について、1地点あたりの日数を平均したものです。
それでも、日本の猛暑日が長期的に増加していることを示す重要なデータといえます。更に2026年からは「酷暑日」という言葉も出てきており、夏の暑さは更に増しております。
熱中症の危険性は気温だけでは決まらない
夏の危険性を判断するときは、気温だけを見るのでは不十分です。
熱中症の危険度には、気温に加えて、湿度、日射、周囲から受ける熱、風の状態などが関係します。
特に強い日差しを直接受ける場所では、同じ気温でも日陰より体への負担が大きくなる可能性があります。
駅までの徒歩移動や信号待ち、営業先への移動など、短い時間であっても直射日光を受け続ける場面では注意が必要です。
我慢だけで夏を乗り切るのは危険
「少しくらい暑くても我慢すれば大丈夫」と考える男性もいるかもしれません。
しかし、熱中症は長時間の運動中だけに起こるものではありません。通勤や買い物、屋外での作業など、日常生活の中でも発生する可能性があります。
体調や睡眠不足、暑さへの慣れ、服装などによっても、暑さに対する負担は変わります。
暑くなってから対処するのではなく、直射日光を避ける、水分を補給する、涼しい場所で休憩するなど、早めの対策が重要です。
男性が日傘を使うメリット
持ち運べる日陰をつくれる
日傘の大きなメリットは、日陰がない場所でも自分の周囲に日陰をつくれることです。
日傘を使うと、頭や顔、首、肩などに直接当たる日差しを遮れます。
外気温そのものを下げるわけではありませんが、体に届く日射を減らせるため、日向をそのまま歩くよりも暑さによる負担を抑えやすくなります。
環境省は、夏の熱ストレスを軽減する暑さ対策の一つとして日傘の活用を推進しています。
環境省の実証では、日傘を差すことで、日傘を使用せず日向にいる場合と比べ、熱中症の危険度を示す暑さ指数「WBGT」が1~3程度低下しました。
これは気温自体が1~3℃下がったという意味ではありません。気温、湿度、日射などを含めた熱中症リスクの指標が低下したという結果です。
汗や通勤時の不快感を抑えやすい
夏の通勤では駅や会社に着くまでに汗をかき、シャツの汗染みやにおいが気になることがあります。
日傘で直射日光を遮ることで、移動中にかく汗の量を抑えられる可能性があります。
環境省が人工気象室で男性6人を対象に行った実験では、気温30℃、湿度50%の条件下で、帽子だけを使用した場合と、日射を99%以上遮る日傘を使用した場合を比較しています。
その結果、日傘を使用した場合は、帽子だけの場合より汗の量が約17%少なくなりました。
ただし、少人数を対象とした一定条件下での実験結果です。実際の発汗量は、気温や湿度、歩く速さ、服装、体質などによって異なります。
帽子で防ぎにくい顔や首もカバーできる
帽子も頭部への直射日光を防ぐために役立ちます。
一方で、一般的な帽子では、顔の横側、耳、首、肩などに日差しが当たることがあります。
日傘なら、頭だけでなく上半身の広い範囲に日陰をつくれるため、帽子では防ぎにくい部分もカバーしやすくなります。
また、仕事で帽子をかぶりにくい人や、髪型を崩したくない人にも取り入れやすい方法です。
日傘と帽子のどちらか一方に限定する必要はありません。長時間屋外にいる場合は、状況に応じて帽子、日傘、冷却用品などを組み合わせましょう。
紫外線対策にも役立つ
日傘は暑さ対策だけでなく、紫外線対策にも役立ちます。
紫外線を長期間浴び続けることは、肌の乾燥やシミ、しわなど、いわゆる光老化の一因になるとされています。
男性は日焼けをあまり気にしない人もいますが、顔や頭皮、首、腕などは日常的に紫外線を受けています。
紫外線対策を目的とする場合は、UVカット率や遮光率が表示された日傘を選ぶことが大切です。
男性の日傘利用は珍しくなくなっている
暑さ対策を目的に使う男性が増えている
日傘は、女性が美容目的で使うものというイメージを持たれがちです。
しかし、男性の場合は、日焼けや美容よりも暑さ対策を目的として日傘を使う傾向があります。
株式会社クロス・マーケティングが2025年に全国の20~69歳の男女1,100人を対象に実施した調査では、男性の4人に1人が日傘を使用していました。
調査では、男性は女性に比べて、紫外線対策よりも暑さ対策を目的に日傘を使う傾向が示されています。
この結果からも、男性用日傘やメンズ日傘は、単なる流行ではなく、猛暑を乗り切るための実用品として受け入れられつつあることが分かります。
日傘男子という言葉が生まれるほど普及している
以前は、日傘を差す男性を「日傘男子」と呼ぶこともありました。
ただし、現在では男性の日傘利用そのものが広がり、わざわざ特別な呼び方をする必要もなくなりつつあります。
通勤中や街中でも、黒やネイビーなどのシンプルな折りたたみ日傘を使用する男性を見かける機会が増えています。
日傘を差すことは、周囲にどう見られるかよりも、自分の体を暑さから守るための合理的な選択です。
シンプルなデザインなら仕事着にも合わせやすい
男性向け日傘には、黒、ネイビー、グレー、カーキなど、落ち着いた色の商品が多くあります。
装飾の少ない無地のデザインを選べば、スーツやビジネスバッグにも合わせやすく、一般的な雨傘と大きく変わらない見た目で使用できます。
「日傘らしいデザインには抵抗がある」という男性は、晴雨兼用のシンプルな折りたたみ傘から始めると使いやすいでしょう。
急な雨にも対応できるため、日傘だけを持ち歩くことに抵抗がある人にも向いています。
男性向け日傘の選び方
遮光率・UVカット率・遮熱性を確認する
男性向け日傘を選ぶときは、まず商品ページに記載されている性能を確認しましょう。
主に確認したいのは、次の3項目です。
・遮光率
・UVカット率
・遮熱性
遮光率は、可視光線をどの程度遮るかを示す数値です。UVカット率は、紫外線をどの程度遮るかを示します。
暑さ対策を重視する場合は遮光率やUVカット率の他に、遮熱性についても確認も大切です。
なお、「完全遮光」「遮光率100%」という表示は、生地部分の検査結果を示している場合があります。傘の縫い目や隙間を含めて、あらゆる光を完全に遮るという意味とは限りません。
商品ページでは、試験対象が生地なのか製品全体なのか、第三者機関による試験結果があるかも確認しましょう。
内側の色とコーティングを確認する
日傘の内側が白や明るい色の場合、地面からの照り返しが顔周辺へ反射することがあります。
内側が黒や濃い色のものは、反射を抑えやすい傾向があります。
ただし、日傘の遮光性や遮熱性は、内側の色だけで決まるものではありません。
使用している生地、コーティング、日傘の構造なども関係するため、色だけで判断せず、商品に表示された性能を確認しましょう。
軽さ・大きさ・耐風性のバランスで選ぶ
毎日持ち歩く日傘は、軽いほど負担を感じにくくなります。
一方で、軽さだけを優先すると、傘の直径が小さい、骨が少ない、風に弱いなどの可能性があります。
体格の大きな男性が小型の日傘を使うと、肩や腕が日陰から出てしまうこともあります。
購入前には、重量だけでなく、使用時の直径、親骨の長さ、骨の本数、耐風構造なども確認しましょう。
通勤時の持ち運びやすさを優先するなら軽量タイプ、屋外で長く使用するなら大きめで丈夫なタイプが向いています。
通勤用なら晴雨兼用の折りたたみ式が使いやすい
初めて男性用日傘を購入する場合は、晴雨兼用の折りたたみ日傘が使いやすいでしょう。
晴れた日は日傘、雨の日は雨傘として使えるため、2本を別々に持ち歩く必要がありません。
通勤バッグに入れておけば、急な強い日差しや、雨が降ったときに対応できます。
収納時の長さや太さも商品によって異なるため、普段使っているバッグに入るか確認してください。
自動開閉式は重さにも注意する
ボタンを押すだけで開閉できる自動開閉式は、荷物を持っているときや車の乗り降りに便利です。
ただし、手動式と比べて構造が複雑なため、重くなる傾向があります。
また、自動で閉じたあとに、傘の軸を押し込むために力が必要な商品もあります。
購入する際は、自動開閉機能の有無だけでなく、重量や収納のしやすさも確認しましょう。
男性が日傘を使うときの注意点
日傘だけで熱中症を完全には防げない
日傘は直射日光を避けるために役立ちます。ですが、日傘だけで熱中症を完全に防げるわけではありません。
気温や湿度が高い日は、日陰にいても体温が上がる可能性があります。
睡眠不足の日は注意が必要です。体調不良や飲酒の翌日も危険です。暑さに慣れていない時期も無理を避けましょう。
日傘を使っているから大丈夫と考えず、ほかの暑さ対策も組み合わせましょう。
水分補給や休憩も組み合わせる
暑い日の外出では、のどが渇く前にこまめに水分を補給することが大切です。
長時間の運動や屋外作業などで大量に汗をかく場合は、水分だけでなく、失われた塩分を補うことも必要です。
次の対策を状況に応じて組み合わせてください。
・通気性や吸湿性のよい服を選ぶ
・こまめに水分を補給する
・日陰や冷房のある場所で休憩する
・帽子や冷却用品を併用する
・暑さ指数や熱中症警戒アラートを確認する
・体調が悪い日は外出時間を短くする
熱中症が疑われる症状を見逃さない
暑い場所にいた後は、体調を確認しましょう。めまいや立ちくらみは、熱中症の症状です。頭痛や吐き気が出ることもあります。強いだるさや筋肉のけいれんにも注意が必要です。
すぐに涼しい場所へ移動し、衣服を緩め、首や脇の下、脚の付け根などを冷やしてください。
自分で水分を飲める状態であれば、水分や塩分を補給します。
呼びかけへの反応がおかしい場合は危険です。自力で水分を飲めない場合も注意が必要です。症状が改善しなければ、救急要請を検討してください。
男性の日傘に関するよくある質問
男性の日傘は何色が使いやすいですか?
黒、ネイビー、グレーなどの落ち着いた色は、スーツや普段着に合わせやすく、初めて日傘を使う男性にも向いています。
ただし、外側の色だけで遮光性や遮熱性が決まるわけではありません。
色に加えて、遮光率、UVカット率、遮熱性、コーティングなどの商品性能も確認しましょう。
男性用の日傘は何センチが適切ですか?
日傘のサイズは、親骨の長さや使用時の直径で確認します。
コンパクトさを重視すると、体格によっては肩や腕が日陰から出ることがあります。
肩幅が広い男性や荷物を持って歩くことが多い男性は、使用時の直径が大きめの商品を選ぶと体をカバーしやすくなります。
ただし、大きくなるほど重量や収納サイズも増えるため、持ち運びやすさとのバランスが重要です。
普通の雨傘を日傘代わりに使えますか?
一般的な雨傘でも、直射日光を一部遮ることはできます。
ただし、雨傘にはUVカット加工や遮光・遮熱加工が施されていない商品もあります。
暑さや紫外線への対策には、専用の傘が適しています。UVカット率を確認しましょう。遮光率が表示された晴雨兼用傘がおすすめです。
男性が日傘を差すのは恥ずかしくありませんか?
男性の日傘利用は以前より広がっており、特に猛暑対策として取り入れる人が増えています。
黒やネイビーなら、見た目も自然です。一般的な折りたたみ傘と大きく変わりません。晴雨兼用なら雨の日にも使えます。
周囲の視線よりも、自分の体調を守り、夏の移動を快適にすることを優先してよいでしょう。
まとめ|日傘は男性にも必要な猛暑対策
日本の猛暑日は増加しており、夏の外出を我慢だけで乗り切るのは現実的ではありません。
日傘は、頭や顔、首、肩への直射日光を遮り、日陰がない場所でも自分の周囲に日陰をつくれる暑さ対策です。
環境省は、日傘の効果を検証しています。日傘を使うと、WBGTが低下しました。一定の条件では、汗の量も減少しています。
男性の日傘利用も広がっており、「日傘は女性のもの」という考え方は変わりつつあります。
初めてなら、軽量の日傘が使いやすいでしょう。折りたたみ式なら持ち運びも簡単です。晴雨兼用なら急な雨にも対応できます。
自分の体格に合う大きさを選びましょう。遮光性と遮熱性も重要です。重量や耐風性も確認してください。
具体的な商品を比較して選びたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ 男性の日傘デビューにおすすめ3選|熱中症予防と選び方【プレゼントにも】
参考資料
・気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」
・環境省「日傘の活用推進について~夏の熱ストレスに気をつけて!~」
・環境省「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート関連資料 個人における適応策の推進」
・株式会社クロス・マーケティング「傘に関する調査(2025年)」