「少し痛いけど、試合には出たい」
「レギュラーを外れたくない」
「みんなが頑張っているのに、自分だけ休みたくない」
部活を頑張る学生さんから、こうした言葉を聞くことは本当に多くあります。
実際に学生さんをみていると、「少し痛いけど頑張りたい」と無理をしてしまうケースは少なくありません。そして実際には、「痛いけど頑張りたい」と言う子ほど、まじめで努力家なことが多いです。
だからこそ、「頑張る気持ち」を簡単に否定したくはありません。
私たちも、部活を頑張る学生さんには、できるだけ競技を続けてほしいと思っています。ですがその一方で、無理を重ねたことで、本来もっと長く楽しめたはずのスポーツから離れざるを得なくなるケースも現場では見てきました。
特に成長期は、大人よりも体が未成熟な時期です。
オスグッドやシンスプリント、野球肩、部活による腰痛や膝痛など、「少し痛いけどできる」を繰り返した結果、症状が長引いてしまうこともあります。
ここでは、「部活を続けたい」という気持ちを大切にしながら、体を守って長くスポーツを続けるための考え方についてお伝えしていきます。
「まだできる」が無理につながることもあります
痛みをかばうことでフォームが崩れてしまうことがあります
部活中に痛みがあると、人は無意識にその場所をかばいます。
例えば、部活の膝痛があると片足に重心を逃がしたり、野球肩の違和感があると腕の振り方を変えたりします。一時的にはプレーできていても、その「かばう動き」が別の場所への負担につながることがあります。
実際に現場でも、「最初は膝だけだったのに、途中から腰まで痛くなった」という学生さんは少なくありません。
例えばオスグッドでは、太ももの前側が硬くなることで股関節の動きが悪くなり、結果として腰への負担が増えるケースがあります。
また、フォームが崩れた状態で練習を続けると、本来身につけたい動きとは違うクセが残ってしまうこともあります。
「まだできるから大丈夫」ではなく、「安全に動けているか」を見ることが大切です。
小さな痛みの積み重ねが慢性化につながることもあります
スポーツ障害は、突然大きなケガをするだけではありません。
むしろ、「少し痛いけど我慢できる」という状態を続けた結果、徐々に悪化していくケースの方が多くみられます。
例えばシンスプリントでは、最初は「走り始めだけ痛い」という程度でも、無理を続けると練習中ずっと痛みが出るようになり、さらに進行すると歩くだけでも違和感が出る場合があります。
野球肩も同じで、「投げた後だけ少し痛い」を繰り返しているうちに、投球フォームが崩れたり、肩周囲の負担が強くなったりすることがあります。
また、
・夜もズキズキ痛む
・安静にしていても痛い
・腫れが強い
・しびれがある
・力が入りにくい
こうした症状がある場合は、無理を続けない方がよいサインの可能性があります。
痛みを言えない子ほど無理をしていることがあります
学生さんの中には、「痛いと言ったら試合に出られなくなる」「周りに迷惑をかけたくない」と考える子もいます。
特に責任感が強い子ほど、ギリギリまで我慢してしまう傾向があります。
保護者の方からも、「本人が大丈夫と言うので様子を見ていました」というお話をよく聞きます。
ですが成長期のスポーツ障害は、早めにケアを始めることで悪化を防ぎやすいケースも少なくありません。
「我慢すること」が頑張りではなく、「長く競技を続けられること」が大切だという視点も必要です。
また、「頑張りたい」という気持ちを尊重しながらも、“いつもと違う動き方”や“疲れ方”に気づいてあげることも大切です。
成長期の体は「頑張り」に耐えきれないこともあります
成長期は骨や関節がまだ未完成な時期です
十代は骨が急激に伸びる時期ですが、筋肉や腱の柔軟性が追いつかないことがあります。
例えばオスグッドでは、太ももの筋肉に引っ張られることで膝の下に負担が集中しやすくなります。ジャンプやダッシュの多い競技では特に起こりやすい傾向があります。
大人であれば耐えられる負荷でも、成長期では炎症や痛みにつながることがあります。
つまり、「気持ちは頑張れていても、体がまだ追いついていない」ということがあるのです。
成長期腰痛の中には「腰椎分離症」が隠れていることもあります
部活 腰痛の中には、単なる筋肉疲労ではなく「腰椎分離症」が関係しているケースもあります。
腰椎分離症は、腰の骨に繰り返し負担がかかることで起こる、疲労骨折のような状態です。
特に、
・野球
・サッカー
・バレーボール
・バスケットボール
など、反る動作や体をひねる動作が多い競技でみられることがあります。
最初は「少し腰が張る」「筋肉痛かな」という程度でも、無理を続けることで痛みが強くなる場合があります。
もちろん、腰痛のすべてが腰椎分離症というわけではありません。ただ、「なかなか腰痛が引かない」「反ると痛い」といった場合は注意が必要です。
腰椎分離症は、早めに状態を確認し適切に対応することで改善を目指せるケースもあります。一方で、無理を続けることで慢性的な腰痛につながる場合もあるため注意が必要です。
成長期の一時的な腰痛と思っていたものが、将来的に慢性的な腰痛につながるケースもあるため、「少し痛いだけ」と我慢しすぎないことが大切です。
分離症については整形外科学会でも説明がありますので、そちらも参考にしてください→『腰椎分離症・分離すべり症』
オーバーユースや回復不足も大きく関係します
スポーツ障害の背景には、「使いすぎ(オーバーユース)」が関係していることも多くあります。
例えば、
・毎日の長時間練習
・休みの少なさ
・自主練のやりすぎ
・睡眠不足
こうした状態が続くと、回復が追いつかなくなります。
成長期 ケガは、「練習量が多い=悪い」という単純な話ではありません。
大切なのは、「今の体が回復できる範囲に収まっているか」です。
特に大会前や新チームになった直後は、急激に練習量が増えることもあるため注意が必要です。
「全部休む」だけが正解ではないこともあります
「ゼロか100」ではなく調整しながら続ける考え方もあります
「痛いなら全部休まないとダメですか?」
これは学生さんや保護者の方から、本当によくいただく質問です。
実際には、状態によって“できることを調整しながら続ける”という考え方が必要なケースもあります。
例えば、
・シンスプリントでも軽いジョグなら可能なケース
・野球肩でも下半身トレーニングならできるケース
・オスグッドでもジャンプ量を減らして練習継続できるケース
などがあります。
もちろん、これは「無理して続ける」という意味ではありません。痛みが出た場合はすぐに中止してください。
大切なのは、「どこまでなら安全か」を見極めることです。
痛みが強くなる場合は無理を続けないことが大切です
一方で、
・運動後に痛みが強くなる
・フォームが崩れる
・腫れが出る
・翌朝まで痛みが残る
こうした場合は、負担が強すぎる可能性があります。
また、
・夜間痛
・しびれ
・力が入りにくい
・歩き方が変わる
といった症状がある場合は、無理を続けない方がよいケースもあります。
「動けるかどうか」だけでなく、「安全に続けられる状態か」を見ることが重要です。
競技を長く続けるためには「調整力」も必要です
実際の現場では、「完全休養しかない」というケースばかりではありません。
例えば、
・練習量を一時的に減らす
・ダッシュ本数を調整する
・投球数を管理する
・痛みが強いメニューだけ外す
こうした調整で悪化を防ぎながら続けられることもあります。
競技を続けたい気持ちを大切にしながら、「どうすれば長く続けられるか」を考えることが大切です。
回復まで含めてスポーツです
アイシングや睡眠も「練習の一部」です
部活 ケガ 予防では、練習後のケアが非常に重要です。
例えば、熱感がある部分へのアイシングは、炎症を抑えるサポートになることがあります。
また、睡眠中は成長ホルモンが分泌されるため、回復にとても大切です。
実際に学生さんをみていると、睡眠不足が続いている時ほど、痛みが長引いているケースも少なくありません。
「練習した時間」だけでなく、「回復する時間」も含めてスポーツだと考えることが大切です。
ストレッチは回復をサポートする大切なケアのひとつです
ストレッチは、練習後の疲労回復や柔軟性維持のサポートとして役立つことがあります。
例えば、練習後に太ももやふくらはぎ、股関節まわりを無理のない範囲で伸ばすことで、筋肉の張り感がやわらぐケースもあります。
また、運動前は体を動かしながら行うダイナミックストレッチが向く場合があり、運動後やお風呂上がりには、ゆっくり伸ばすスタティックストレッチが向くことがあります。
大切なのは、「今の目的に合った方法を選ぶこと」です。
強く伸ばしすぎるのではなく、その日の体の状態に合わせながら、回復を助けるイメージで行うことが大切です。
日常生活の姿勢も体に影響します
最近はスマホ姿勢による猫背や首・肩への負担も増えています。
例えば、長時間うつむいた姿勢が続くことで肩周囲の動きが悪くなり、投球動作へ影響するケースもあります。
スポーツ中だけでなく、普段の姿勢や生活習慣まで含めて体を整えることが、長く競技を続けるためには大切です。
今の無理が未来の体につながることもあります
痛みを繰り返すことで慢性化する場合もあります
「少し痛いけど頑張る」を繰り返すことで、慢性的な腰痛や膝痛につながることがあります。
また、関節の動きが悪い状態で無理を続けると、可動域低下が残るケースもあります。
もちろん、すべてが重症化するわけではありません。
ですが、「もっと早くケアしていれば長引かなかったかもしれない」というケースは、現場でも実際にあります。
大切なのは「長くスポーツを楽しめる体」です
スポーツは、本来楽しいものです。
だからこそ、「今だけ頑張る」ではなく、「これから先も続けられる体」を大切にしてほしいと思っています。
高校でも、大学でも、大人になってからでもスポーツを楽しめるように。
そのためには、「少しの痛みだから」と我慢しすぎないことも大切です。
気になる症状があるときは早めに相談を
我慢しすぎないための目安
以下のような症状がある場合は、一度早めに相談することをおすすめします。
・夜も痛む
・腫れが強い
・しびれがある
・力が入りにくい
・歩き方が変わる
・安静時も痛い
・痛みが長期間続いている
特に成長期は、早めに状態を確認することで悪化を防ぎやすくなるケースがあります。
日本整形外科学会や日本スポーツ整形外科学会でも、成長期スポーツ障害への早期対応の重要性が紹介されています。
まとめ|頑張る気持ちも、未来の体もどちらも大切です
部活を頑張ることは、とても素晴らしいことです。
「試合に出たい」
「もっと上手くなりたい」
そう思って努力できる経験は、きっと将来にもつながります。
だからこそ私たちも、「できれば続けさせてあげたい」と思っています。
実際の現場でも、「完全に止める」のではなく、「どうすれば安全に続けられるか」を一緒に考える場面は少なくありません。
ただその一方で、未来の体を守ることも同じくらい大切です。
痛みを我慢することが、必ずしも“頑張り”になるとは限りません。
時には、
・練習量を調整する
・ケアを増やす
・安全ラインを守る
そうした工夫が、長く競技を続けられる体づくりにつながります。
もし、「この痛みは大丈夫かな」「続けても平気かな」と気になることがあれば、無理を重ねる前に早めに相談してください。